| 受賞 | 日本建築学会作品選集 |
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| プロジェクト発足の背景 | 今出川キャンパスの狭隘化の中で、ロースクールとビジネススクールという2つの新しい大学院施設を創り出す用地を生み出すために老朽化した大学会館を建て替えながら余剰容積分をそれらに当てるという計画。コンペで同志社草創期のレンガ造りの様式を継承するニューイングランドスタイルを提案して当選。 |
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| 初めてその敷地に立った時 | 同志社今出川キャンパスは、京都の重要な観光名所とも言えるものになっている。そこに単独建物としては同志社最大の18000㎡地上7階。御所や仏閣の緑が集まる 京都今出川という文脈の中では巨大な建物であり周辺から突出せざるを得ない。「京都の同志社」の存在感強化のためにも この新施設を歴史的な文脈に溶け込ませ 街並み形成によりよい役割をはたす建物とする必要性を強く意識した。ただ四角い箱にレンガを張りましたでは済まない。本気で既存のチャペルや記念館などの歴史性と勝負しないといけないという心構えを持った |
| デザインの変遷と最終結果 | 全体構成で特に難しかったのは これからの同志社大学の発展を支える2つの大学院 厳粛性を志向する法科大学院、開放性を重視するアクティブなビジネススクール、そして同志社学生の自由闊達の砦とも言うべき大学会館 と ユーザーも違えば求める雰囲気も大きく異なる要素が 一つの建物の中に複合すると言う欲張りプログラム。乱暴な例えをすると刺身と焼き魚とトンカツを一緒に入れる「幕の内弁当」のパッケージ作りのようなもの。新島襄創設のキャンパスのレンガ風景を踏まえ、 アーチとベイウインドウ、勾配屋根と言った建築様式を取り入れた「ニューイングランド風煉瓦造り」という同志社ブランドで、すべての弁当の中身を包含してしまった。平面計画では煉瓦とメープルの中庭を中心においてバッファゾーンの役割を持たせつつ 大学施設らしい雰囲気を創り出すことにつとめた。目新しさを求めるよりは アカデミック京都の姿の一つとして 古都の風景の一つにつながることが出来ればと願いながら。 |
設計過程の議論の中で | 教室の形態をどうするかで議論がありここでは新しい試みとしてU字型のディスカッション教室方式を提案し採用された。普通の階段教室は直線状または円弧状だが ここではあえて座席をU字型に学生同士がお互いの顔を見合わせながら議論したり Uの正面のスクリーンを見ながら教官が中央を歩き回ることで授業に変化をつけられるようにするもの。原型はMITのビジネススクールの講義室の一つにあるもので この施設が先駆の一つとなったがその後いくつかの大学で取り入れられつつある。 |
設計中の困難 | プログラミング:すでにある学科の新しい箱を作るというのではなく 法科大学院やビジネススクールなど大学側も新しい制度の中で作り上げていくものなので どのようなものをどのようにつくっていくか大学側と手探りで検討していく状況だった。この作業を「プログラミング」と呼ぶが どんな大きさの部屋をいくつ どんな風に作るかの検討というのが初期の一番の課題となる。この議論をまとめ上げるのが大きな挑戦だった。 周辺住民との共生: 大きなキャンパスの一部に建つのではなく 住宅街区の一角に建っている建て替えなので周辺住民の方々に対して計画説明会が開かれた。ポスティングなどをして50人ぐらいの方々に集まっていただいたが 住民の方々が大学を自分たちの社会の一部ととらえたうえで 学生が自転車を外に置かないようにしてほしいとか 大きな音が漏れないようにしてほしいとか いろいろな要望を聞かせていただいた。 「よそ者が来る」のではなく 「長い付き合いの隣人が建物を建て替える」というとらえ方がにじみ出ていて 大学が地域社会に根差しているのだということを実感した。それだからこそ 出来上がったとき地域の人々ががっかりせず 誇りに思ってもらえるような建物にしないといけないと 設計者としての責任を感じた。 |
プロジェクト期間中の『最大のピンチ』と突破 | レンガ風のタイルを張るというのが一般的であるときに 本物のレンガ造りの風格を出すために外壁として英国産のレンガを積み上げるという手法を提案した。はじめはタイルだったらダメなのかとかなぜ英国産なのかとか 納得してもらうのにずいぶん苦労したが 本物を使うことで伝統を受け継ぐ力が出ると説明を続け 納得してもらって工事が始まると 今度は「現場を通りがかった学内の教授が記念にこのレンガを欲しいと言われました」といわれるほど レンガであることの評判がよく伝わってきてホッとした。 |
最後まで貫いた設計上の理念 | せっかく今出川通りに面しているので「大学の生協で食事する」という感覚を脱却したいと考えて 魅力づくりのために館内にレストランやカフェを導入することを提案。 一般のおしゃれな店舗をテナントとして誘致する方向で話を進めた。今でこそ大学内に民間経営のレストランが見られるようになったが設計当時は大学が一般テナントを施設に誘致するというのは前例の少ないことで テナント誘致のルールなど大学側未経験のことを大学と一緒になって検討し解決していった。大学側の運営者探しの困難は大きかったと思うが 最後まで「ややこしいから今まで通りで」とならずに一般レストrンを導入できたことは大変良かったと思う |
うまくいった部分と予想外の部分 | 大学側の努力によっていいテナントが入り(1階にアマークドパラディ、最上階の7階にセカンドハウス ウィル)京都のグルメスポットとして多くの来客を惹きつけるようになった。 |
設計裏話 | どんな建物も設計プロセスの中で様々な課題が出され解決策が検討されていくが 学部や事務局 健康管理などいろいろな部門がばらばらにいろいろな意見を出すところをうまく統合していくのが設計者の重要な役割なのだというのを痛感した。まあ 住宅を設計するときでも 家族間の意見をうまく調整するのが設計者の役回りとなることも大いにあるのだろうけれど・・ |